大刀剣市2018出品 【重要刀剣】刀 月山貞一(ご売約済み)
月山貞一は天保七年(1836年)に近江国犬山郡に生まれ通称を弥五郎と言い、七歳の時に月山貞吉の養子となって幼少より養父に刀の鍛え方を学びました。その作風は山城、大和、相州、備前、美濃などの各流派の伝法を器用にこなし、また古い月山に習った綾杉肌も巧みに表現しており、刀身彫刻においても優れた技術を見せています。
月山貞一は明治九年の廃刀令以後も不運にめげず鍛刀活動を続け、その多年の功績によって明治39年に帝室技藝員に任じられました。その後も作刀に励み、70年の長きにわたって刀を作り続け、大正7年84歳で生涯を閉じます。
この刀は(表)が切刃造で(裏)は鎬造の片切刃造の形状で、身幅が広めで元先の幅差が目立たず、反りが浅めについた造込みを呈しており、鍛えは板目肌にところどころ杢を交えて、地沸が厚く付き、地景がよく入り、刃文は互の目に小のたれ・尖り刃・丁子風を交えて、足・葉入り、物打辺焼幅を広めて大模様に乱れ、刃中よく沸づいて、ところどころに細かな飛焼・湯走りを交え、金筋・砂流しがさかんにかかるなどの出来口を示しています。
華やかな乱れは刃中よく沸づいて金筋・砂流しがさかんにかかり、鍛えには地景を頻りに交えるなど地刃の働きにきわめて富んだ作風を表しており、貞一の技術の高さが余すところなく発揮されています。
また得意とする刀身彫も実に巧緻で見事です。
この刀は明治以降に作られた刀で初めて重要刀剣に選ばれた記念すべき一振りです。