無銘安親 雲龍図鐔
こちらの鐔は雲を呼び起こし天に昇る龍の様子が描かれた無銘 安親 雲龍図鐔です。
古来より中国では想像上の動物である龍が神獣として尊ばれてきました。普段水中にすみ、時が来ると霊力を発揮し乾いた大地に慈雨をもたらしながら天高く昇って龍となるといわれています。そのことから飛躍につながる吉祥とされ鐔のモチーフとしてのみならず刀身や拵にも描かれてきました。
仏教で八代龍王の中の沙加羅龍王が海や雨を司るとされることから、航海の守護神、雨乞いの神として信仰されており、日本でも民間信仰に龍にまつわる伝説が多く残されています。
土屋 安親
奈良三作の一人、土屋安親は庄内鶴岡生まれの金工です。
江戸時代17世紀末から18世紀初めに元禄文化が栄え始め様々な文芸や美術、町人文化が発達する中、それまでの「家彫り」と呼ばれる格式高い拵からより個性的な拵を求める機運が高まり、「町彫り」と呼ばれる華麗な技法や洒脱な意匠の刀装具が流行しました。中でも「町彫り」の祖と仰がれる江戸の横谷宗珉と並ぶ一派であった「奈良派」、その三作にあげられるのが今回ご紹介する土屋安親です。
この雲龍図に描かれている龍は角・鱗があることから大人の龍であることがわかります。龍というと猛々しく力強いイメージですが、この安親の龍はどこかユーモラスで見るものを安心させるほのぼのとした温かみがあり味わい深い作品です。これはこの鐔に限らず安親の鐔すべてに通じるもので一見すると泥臭く見える場合もありますが、心ひきつけられる味わいがあります。
また雨の鏨も安親独特の毛彫りで描かれ見事な出来と言えるでしょう。
鐔・刀装具高価買取いたします
土屋安親をはじめ、奈良利寿、杉浦乗意など奈良三作の鐔・刀装具、信家、金家、高価買取いたします。
ただこれらの作家の作品は偽物も多く、注意が必要になります。鐔、刀装具お買取の際に元箱や鑑定書、特に日本刀剣保存協会の鑑定書がついていればお持ちください。